今まで、誰も教えてくれなかった インテリアデザインのノウハウ

< 第3章 インテリアデザイン・プランニング編 > 22


◆4つの「〜になったつもり」その4・・・3



この機能性について、わたしが以前、建築雑誌で知った建築家の例を、
ここでご紹介します。

この建築家の先生は、建築雑誌でもたびたび紹介される、かなり有名な方です。

ある時、この建築家の設計した建物が、建築雑誌で紹介されていたのです。
たしか、ある会社のオフィスビル(自社ビル)だったと思います。

竣工した建物を外観、内観含めて、いろいろなアングルから撮った写真で
紹介されていました。

わたしはその写真を見ながら、そのデザインのセンスのよさに感心しながら、
雑誌に見入っていました。
自分でも、こんな建物をデザインできたら、どんなにいいだろうと思いながら。

そして、写真の最後には、その建築家ご本人が、自ら書かれた、
この建築物の設計主旨が2ページほど掲載されていたのです。

こんなすばらしい建物を設計される先生は、一体どんな考えで設計に
取り組まれるのか、興味津々で読み始めました。

ところが・・・・・・・・。

そこに書いてある事は、


「私の建築は、空間的に・・・・・・・。」
「この作品は、今までの私の作品の中で、エポック的存在で・・・・・・・。」
「私の目指している建築は・・・・・・・。」


その先生の建築論とか、空間論がびっしり述べられているだけで、
それ以外の事には全然触れられていませんでした。
そこで働く人達の事は一切触れられていないのです。

そして、最後のページにこのビルの設計を、依頼したクライアントのコメントが
短く添えられていました。

「自社ビルとして、使ってみると、正直なところ、非常に使いずらいところが
たくさんあります。
もう少し、機能面を考えて設計してもらうと、良かったのですが。

でも、著名な建築家の先生に、設計していただいた建物なので話題性もあり、
我社の宣伝になったのではと、思っています。」


あなたは、このクライアントのコメントを読んで、どんな感想をもたれたでしょうか?

わたしは、正直言って、ガッカリしました。驚きました。

一体、デザインって、何のためにあるのか、改めて考えさせられました。

デザインは、それを使う人のためのもの、いうならば、


クライアントやその空間を利用する人達のために提供されるべき


ではないのでしょうか?

確かに、建築とインテリアデザインには、違いがあるかもしれませんし、
クライアントの要望を全て取り入れて、デザインしては、
なかなか“いいデザイン”を作り上げる事が難しいかもしれません。

この講座でも、その事はお話してきましたが、そうは言っても機能的な面を考えずに
デザインして、はたして“いいデザイン”といえるのでしょうか。

わたしは、この建築家の先生のように、すばらしい才能があるわけでもありません。
ただの、平凡なデザイナーの一人ですが、今考えても、この事が疑問に
思えてなりません。




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 第3章 目次
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第3章→  クライアントの要望施工現場のチェックプラスからマイナスに考えるクライアントは神様?
コンセプトについて〜になったつもり・その1その2その3その4忘却メモ

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